古民家への思い

古民家再生への3つの願い


1.家族の思い出を守りたい     
 古民家の耐震診断に訪れる際、お客様がよくお話してくださるのは、その家で作られたたくさんの思い出のお話です。新しい家族が増えた日のことや、兄弟げんかをして叱られたこと、ペットと過ごした時間や家族で囲む食卓など・・・家族がひとつの家に集まり共に過ごす時間は、たとえそれが何気ない日常でも、かけがえのない思い出として日々積み重ねられていきます。私たちは、この家族との思い出がたくさんつまった大切な家を守りたい。思い出とともに未来の代まで受け継ぎ、残していきたいと考えています。

         

2.お客様の大事な資産を守りたい  
 古民家は、見た目にはとても質素で、構造的にもとても簡素に見えます。しかし材料や構造などの質のレベルは高く、その資産価値は坪120万円とも言われています。100坪の家であれば、1億2千万円もの資産価値があるのです。
 古民家が建てられた当時は、無垢材や優良木を、今より身近に手に入れることができた時代でした。
柱や梁はむろん、床や天井に張る板にまで、今使用すれば何十万もするような材料が惜しみなく使用されています。
また、古民家では建築金物をほとんど使用しておらず、材木に切り込みを入れて柱と梁を複雑な構造で接合する手法を取っています。この手法は手間がかかるのはもちろんのこと、職人の高い技術力が必要不可欠でした。
 このような点から、とても資産価値が高いと言われている古民家ですが、現代人が求める機能性や便利さとの間には、どうしてもギャップが生まれてしまいます。私たちは現代の暮らしに合った、安心かつ快適な住まいとしての古民家をご提案し、お客様の大事な資産を守るお手伝いをしたいと考えています。

        

3.伝統技術を守りたい          
 古民家といわれる江戸後期から昭和初期までの住宅は、一軒に、実に2年の月日を費やして建てられました。古民家とはすなわち、電動工具が無かった時代、手道具を駆使してかんなで材料を削り、墨付けをし、職人の持つ最高の技術力を注ぎ込んで、民家に命を吹き込むように作り上げられた最高傑作の建築物なのです。
 長い木造建築の歴史の中で、建築用木工具も発展し、建築技術も更に進みました。しかしその反面、近代建築技術が導入されたことにより、本来の職人の高い技術力が保持されづらくなってきているのが現実です。
 悠久の歴史のなかで先人が、心をこめて守り育ててこられた伝統技術には、現在も多くの人を魅了する、すばらしい日本の美と、技法が結集されています。私たちは古民家を残していくことで、先人の技法を学び、継承しつつも、現代のライフスタイルに求められる新たな分野を築いて行きたいと考えます。