愛知県古民家の特徴について(23)

間取り(平面)形式では、広間三間取型・六間取型(横型)・喰違五間取型・六間取型(縦型)・整形五間取型が現存している。これらの間取りは18世紀には成立していた形式であるが、船枻造だけに現存していた事例ではない。全く船枻造との関連が考えられない直家で、広間三間取型の設楽町鈴木儀一宅、六間取型の豊根村熊谷賢一宅と設楽町岡松貞一宅がみられた。

また、直屋に釜屋や厩が付設された(釜屋と称し、釜屋の屋根妻が主屋に差し込みになる)18世紀の喰違五間取型や整形五間取型も存在している。船枻造の間取りは、喰違五間取型と整形五間取型の18世紀の建造にみることができ、この両者の間取りが18世紀から19世紀(明治末)まで続いているのである。

以上の間取形式は、山間部でありながら大型で発達した構成になっている。例えば六間取型・喰違五間取型・整形五間取型などに広縁を設けた形は、18世紀における三河や尾張の平野部で見ることはできないが、遠江の浜松地方に雄踏町の中村清宅(重文)、浜松市の木村祐明宅にみられる武家住宅に類似する形式である。

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