愛知県古民家の特徴について(22)

船枻造形式
三河山間部の設楽町・東栄町・作手村・津具村・豊根村に分布する農家の形式は、船枻造に必ずしも統一されている訳ではない。船枻造でない直屋や釜屋建(豊川中流以南の形式と異なる)も混在するが、船枻造の占める割合が少なくない。

隣接する信濃の伊郡谷の飯田市以南では、根羽村・売木村・天竜村・清内路村・阿南町・泰阜村・南信濃村・上村の広範囲に散見することができ、遠江の水窪町・佐久間町にも散見することができる。
作手村では船枻造・鳥居建・釜屋建が村を3等分するかに分布している。矢作川水系に鳥居建がみられ、豊川水系の島田川流域に釜屋建がみられる。船枻造は豊川水系の設楽町に流れる当津具川流域にみることができた。
また、船柑造と釜屋建(豊川中流以南と異なる)が混在する地方は、天龍川水系の振芋川・御殿川流域の東栄町の南部にみることができる。船枻造は架構造の名称であって、間取り(平面)からの名称ではない。また、この地方には間取りからの形式に対する名称は残っていない。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)