濃尾平野の地史(6)

瀬戸陶土層は東海湖の周縁部に分布し、東海湖初期の堆積物である。前記のように、小起伏面上の凹地に堆積したけい砂や粘土層のほかに-部に砂利層もある。亜炭層直下の粘土は耐火材料として使用されている。
矢田川累層は瀬戸層群の大部分を占める地層で、れき層・砂層、シルト層を主体とし、火山灰層や亜炭層も伴っている。大観すれば、下部と上部とに砂れき層が多く、中は砂層と粘土層とが多い。
下部の砂れきの多い部分を水野相といい、中部の砂とシルトの多い部分を尾張用炭相上部の砂れきの多い部分を猪高相と呼んでいる。しかし水野相のあるれき層をどこまでも追跡すると、れき層中のれきが次第に減って砂が多くなり、
いつのまにか砂層とれき層とがくりかえす互層あるいは砂層だけになってしまうことがある。つまり水野相と呼ばれている地層群が水野相の特色を失って、尾張夾炭相へ移化している。その移化する方向は上下ばかりではなく、横方向にも変わるので、水野相が尾張夾炭相の下にあるとは必ずしもいいきれない。
水野相はチャートのれきを主成分とするれき層にシルト層が伴うもので、瀬戸市水野では広く分布している。下位の陶土層を不整合におおうことが多いが、陶土層から由来した物質が多量に混入して、陶土層とあまり差のない地層を含むこともある。

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