愛知県下に分布する古民家の形式について(11)
水屋形式は、河川の氾濫に備えた屋敷構えであり、さらに屋敷内に特別に建設された生活や貯蔵用の建造物である。
この形式が何時の時代から出現したか明らかでない。
しかし、人が住み生活を営み始めたとき、天災による被害から身を守り、蓄財の保全を計るために考えられたものである。
通常にみられる水屋構えは、屋敷を耕作地より一段高く嵩上げし、さらに敷岸の一部に石垣を積み上げて高い地盤に造成し、その部分に土蔵式や離れ屋式に建物を造っている。
この石垣を積んだ構えには、船人場が設けられて河川の氾濫のときに建物の下に船の出入りができ荷物を水屋から出し入れができるようになっている。
この船入りの形は総ての水屋構えに設けられた訳ではない。
石垣を積み上げ、その上に建物を造り、外側から段のある登り口を設けて出入りのできる水屋構えが少なくなかった。